[ITPASS2014] qmail のインストールと設定
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qmail のインストールと設定
qmail 1.03 のインストールと設定を行う. qmail は開発元が開発を放棄しているため、適宜パッチを当てる必要がある.
ソース・パッチの取得
ディレクトリを作成する.
# mkdir /var/qmail
ユーザ・グループを追加する. qmail は専用のアカウントとグループを作成してその権限で起動する.
# groupadd -g 200 nofiles # adduser --system --ingroup nofiles --home /var/qmail/alias alias # adduser --system --ingroup nofiles --home /var/qmail qmaild # adduser --system --ingroup nofiles --home /var/qmail qmaill # adduser --system --ingroup nofiles --home /var/qmail qmailp # groupadd -g 201 qmail # adduser --system --ingroup qmail --home /var/qmail qmailq # adduser --system --ingroup qmail --home /var/qmail qmailr # adduser --system --ingroup qmail --home /var/qmail qmails
このときに, 以下のようなレスポンスが返ってくるが問題ない.
# adduser --system --ingroup nofiles --home /var/qmail qmaild 警告: 指定されたホームディレクトリ /var/qmail はすでに存在しています。 システムユーザ `qmaild' (UID 116) を追加しています... 新しいユーザ `qmaild' (UID 116) をグループ `nofiles' に追加しています... ホームディレクトリ `/var/qmail' はすでに存在します。`/etc/skel' からのコピーを行いません。 adduser: 警告: ホームディレクトリ `/var/qmail' は、現在作成中のユーザの所属になっていません。
ソース, glib 2.3.1 以降用のパッチの取得と展開を行う. patch の当て方については詳しくは [TEBIKI]patch コマンド を参照のこと.
# cd /usr/local/src # wget ftp://ftp.eu.uu.net/pub/unix/mail/qmail/qmail-1.03.tar.gz # tar xvfz qmail-1.03.tar.gz # wget http://www.stackasterisk.jp/tech/systemConstruction/qmail01/qmail-glibc.patch # wget http://www.ksknet.net/sample/qmail-date-localtime.patch
ここでコマンドを実行した際に以下のエラーが出たので, 次の作業を行う.
- 二つ目の wget の実行時に 403: Forbidden の表示
<URL:http://www.archive.org/web/web.php> のページより元の URL を検索し, ファイルをダウンロードして入手する.
# wget http://web.archive.org/web/20071018035729/http://www.stackasterisk.jp/tech/systemConstruction/qmail01/qmail-glibc.patch
- 三つ目の wget の実行時に 403: Forbidden の表示.
<URL:http://www.ksknet.net/qmail/qmaildatelocalt.html> から <URL:http://www.ksknet.net/sample/qmail-date-localtime.patch> へのリンクが張ってあり, ブラウザ上からはアクセスできるが, wget ではアクセスできないため, user-agent を変更して再び以下のように wget でアクセスする.
# wget -U test http://www.ksknet.net/sample/qmail-date-localtime.patch
qmail-localに対するパッチ を用意する. これはqmail-local.patch から入手できる. これを cp し, パーミッションを設定する.
# wget http://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itpass/server/2014/qmail/qmail-local.patch
存在しないユーザ宛のメールを受け取らないようにするパッチqmail-realrcptto を取得する.
# wget http://code.dogmap.org./qmail/qmail-1.03-realrcptto-2006.12.10.patch
DNS サーバーからのレスポンスが 512 バイトを超える場合にも正しく取り扱えるようにするためにパッチを取得する.
# wget http://www.ckdhr.com/ckd/qmail-103.patch
パッチの適用とコンパイル
展開したディレクトリに移動した後, 上で取得したパッチを当てビルドする.ビルドとチェックを行い, エラーが出ないことを確認する.
# cd qmail-1.03 # patch < ../qmail-glibc.patch # patch -p1 < ../qmail-date-localtime.patch # patch -p1 < ../qmail-1.03-realrcptto-2006.12.10.patch # patch < ../qmail-local.patch # patch < ../qmail-103.patch # /etc/init.d/qmail stop # /etc/init.d/tcpserver stop # make # make man # make setup # make check
/etc/init.d/qmail stop と /etc/init.d/tcpserver stop の行についてエラーが出たが問題はない.
bash: /etc/init.d/qmail: そのようなファイルやディレクトリはありません bash: /etc/init.d/tcpserver: そのようなファイルやディレクトリはありません
設定
# ./config
このスクリプトは, DNSを使って制御ファイルに以下の情報を書く.
/var/qmail/control/defaultdomain scitec.kobe-u.ac.jp /var/qmail/control/locals localhost tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp /var/qmail/control/me tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp /var/qmail/control/plusdomain ac.jp /var/qmail/control/rcpthosts localhost tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp /var/qmail/control/databytes 100000000 /var/qmail/control/defaulthost tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp
正しく上の情報が書かれていることをcat(1)で確認する. 例:
# cat /var/qmail/control/me tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp
メールの容量制限をする. 以下のように設定することで, 100MB 以上のサイズのメールは拒否される.
# echo 100000000 >> /var/qmail/control/databytes # chmod 644 /var/qmail/control/databytes
また, 以下の作業も行う.
# echo tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp >> /var/qmail/control/defaulthost # chmod 644 /var/qmail/control/defaulthost
また epa.scitec.kobe-u.ac.jp, aoe.scitec.kobe-u.ac.jp のメールも受け取れるようにする.
# echo epa.scitec.kobe-u.ac.jp >> /var/qmail/control/locals # echo epa.scitec.kobe-u.ac.jp >> /var/qmail/control/rcpthosts # echo aoe.scitec.kobe-u.ac.jp >> /var/qmail/control/locals # echo aoe.scitec.kobe-u.ac.jp >> /var/qmail/control/rcpthosts
これらの情報を qmail-showctl(8) で確認する.
# /var/qmail/bin/qmail-showctl
システムのメールアドレスの転送先設定
root 宛のメールをフォワードする先に itpadmin を指定する. なお, "_at_" は "@" に読み替える.
# cd /var/qmail/alias # echo '&itpadmin_at_itpass.scitec.kobe-u.ac.jp' > .qmail-root # echo '&root' > .qmail-postmaster # echo '&root' > .qmail-mailer-daemon # echo '&root' > .qmail-bin # echo '&root' > .qmail-daemon # echo '&root' > .qmail-games # echo '&root' > .qmail-ingres # echo '&root' > .qmail-nobody # echo '&root' > .qmail-sys # echo '&root' > .qmail-uucp # echo '&root' > .qmail-mail # echo '&root' > .qmail-anonymous # echo '&root' > .qmail-www-data # chmod 644 .qmail-*
インストールした実行ファイルへのパスの設定
インストールした qmail の実行ファイル群へパスを通す.
[ITPASS2014]パスの設定 の <一般ユーザ用コマンドのパス> に /var/qmail/bin を追加する. (システム用コマンドも一般ユーザ用コマンドと同じ場所にインストールされているため, システム用コマンド用の設定を別途行う必要は無い).
インストールしたマニュアルへのパスの設定
/etc/manpath.config に以下の行を追加した. 詳しくは [ITPASS2014]パスの設定 を参照のこと.
MANDATORY_MANPATH /var/qmail/man MANPATH_MAP /var/qmail/bin /var/qmail/man MANDB_MAP /var/qmail/man /var/qmail/man
メールの配送先設定
/etc/profileに以下を追記する.
MAIL="$HOME/Mailbox" MAILDROP="$HOME/Mailbox" export MAIL MAILDROP
/etc/csh.cshrcに以下を追記する.
setenv MAIL $HOME/Mailbox setenv MAILDROP $HOME/Mailbox
起動
# cp /var/qmail/boot/home /var/qmail/rc
Debian の qmail パッケージから起動スクリプトを持って来て, 大幅に書き換えたものが qmail から入手できる. これを /etc /init.d/ 以下に cp し, パーミッションを設定する.
# wget http://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itpass/server/2014/qmail/qmail # cp ./qmail /etc/init.d/ # cd /etc/init.d # chown root:root /etc/init.d/qmail # chmod 755 /etc/init.d/qmail
さらに, vi などで /etc/init.d/qmail の QMAIL=/var/qmail の上に以下を追記する.
### BEGIN INIT INFO # Provides: qmail # Required-Start: $remote_fs # Required-Stop: $remote_fs # Should-Start: $network $syslog # Should-Stop: $network $syslog # Default-Start: 2 3 4 5 # Default-Stop: 0 1 6 # Short-Description: Start and stop qmail # Description: qmail is qmail ### END INIT INFO
ブート時に自動的に起動させるため, 以下のコマンドで各 /etc/rc.X ディレクトリからシンボリックリンクを貼る.
# update-rc.d qmail defaults
これで, それぞれのランレベルでスクリプトへのリンクが生成される.
qmailを起動する.
# /etc/init.d/qmail start
配送テスト
qmail-1.03: 配送テスト に従い, 配送テスト (ローカル配送, リモート送り出しテスト) を行う.
[テスト 1] ローカル配送テスト part1
自分に送ってみる. 以下のコマンドを実行する. ~chikuwa/Mailbox にメールが送られることを確認する.
$ echo to: chikuwa | /var/qmail/bin/qmail-inject
[テスト 2] ローカル配送テスト part2
存在しない宛先に送ってみた. バウンスメールが ~chikuwa/Mailbox に送られてく ることを確認する.
$ echo to: nonexistent | /var/qmail/bin/qmail-inject
ここで, ヘッダのタイムゾーンが -0000ではなくて+0900になっていることを確認する. そうなっていないときには, qmail-date-localtime.patchが正しく当たっていない可能性がある.
配送後, ログを確認すると, triple bounce となっておりバウンスメールが返って来ないが, 問題無いものとして先に進める.
[テスト 3] リモート送り出しテスト part1
他のホスト上のアカウントへ送って, 届いていることを確認した. 届かなければ, /var/log/syslog を参照して原因を追求する.
$ echo to: hoge_at_gfd-dennou.org | /var/qmail/bin/qmail-inject
作業ログにおける注意: スパム対策のため, 実在のアドレスをそのまま作業ログに記入しないこと. 書く必要がある場合は関係者が分かる範囲で書き換えること.
[テスト 4] リモート送り出しテスト part2
他のホスト上の存在しない宛先に送った. -f オプションでバウンスの送り先を指定した.
$ echo to: hoge_at_gfd-dennou.org | /var/qmail/bin/qmail-inject -f chikuwa_at_tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp
chikuwa_at_tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp にバウンスが来ていることを確認した.
sendmail の「置き換え」
qmail 1.03: sendmailをqmailへ置き換える, および qmail 1.03: sendmailをシステムから削除する方法 に従う. ただし, sendmail ではなく, exim がインストールされている場合は, exim を無効にする.
まず, exim4 が起動している場合は停止した.
# /etc/init.d/exim4 stop
exim のブートスクリプトは, /etc/init.d/exim4 で, これに /etc/rc[2-5].d/S20exim, /etc/rc{1,6}.d/K20exim からリンクが張られてい る. これを無効にした.
# chmod 000 /etc/init.d/exim4 # mv /etc/init.d/exim4 /etc/init.d/exim4.bak # update-rc.d exim4 remove
cron から exim が呼び出される処理を無効にした. /etc/cron.daily/exim4-base の先頭の方に次の行を書き足した. 3 行目の [ と ! の間にはスペースがあることに注意. 詰めて書いてはいけない (man [(1)). (「[」と「と」, 「と」と「!」の間にスペースを入れた)
#!/bin/sh # by Yasuhiro MORIKAWA, 2007-08-10. We need not exim. if [ ! -f /etc/exim.conf ]; then exit 0 fi
これで, /etc/cron.daily/eximは, /etc/exim.confが存在しない場合には何も せず終了するようになった.
そして, sendmailを置き換えた.
# chmod 000 /usr/lib/sendmail # chmod 000 /usr/sbin/sendmail # mv /usr/lib/sendmail /usr/lib/sendmail.bak # mv /usr/sbin/sendmail /usr/sbin/sendmail.bak # ln -s /var/qmail/bin/sendmail /usr/lib/sendmail # ln -s /var/qmail/bin/sendmail /usr/sbin/sendmail
次のコマンドで exim4 関係のパッケージを hold して, 更新されないようにした.
# echo exim4 hold | dpkg --set-selections # echo exim4-base hold | dpkg --set-selections # echo exim4-config hold | dpkg --set-selections # echo exim4-daemon-light hold | dpkg --set-selections
Debian パッケージの枠組で cron と exim4 (MTA なら何でもよい) は依存関 係があるので, exim4 を消してしまうと cron が利用するメールサーバが Debian パッケージの枠組内では存在しないと認識されてしまう. そのため, exim4 を消さずにあえて残している.
とりあえず用の smtp の設定
後で tcpserver をインストールするので, 最終的にこの設定は不要にな る. とりあえず受信テストのために以下のように inetd を設定した.
/etc/inetd.conf に以下を追加した.
smtp stream tcp nowait qmaild /var/qmail/bin/tcp-env tcp-env /var/qmail/bin/qmail-smtpd
/etc/inetd.conf を読み直させるために次を実行した.
# /etc/init.d/openbsd-inetd restart
qmail の設定ファイルを作成する. chikuwa のアカウントの設定ファイル .qmail を作成し,
/home/ユーザ名/Mailbox
と書いた.
以下のコマンドを実行した.
$ export MAIL=~/Mailbox $ mail
他のホストのアドレスで chikuwa3_at_tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp へメールを送信し, Maildir の中身を確認した.
参考:<URL:http://man.qmail.jp/jinstall/test.receive.html>
参考資料
- [ITPASS2012]qmailのインストールと設定
- セカンダリメールサーバの構築 (北大 EPnetFaN)
- qmail netqmail における 512 バイトを超える DNS 応答の不適切な取り扱いについて
- Life with qmail
- qmail を DNSSEC に対応させるパッチの適用
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