[ITPASS2021]OSの各種設定

構築作業用アカウントの作成

ITPASS サーバを構築する際には, 普段自分が使用しているアカウント名ではなく, 構築作業用のアカウントを作成する.

アカウント作成方法

ITPASS サーバでは chikuwaX (X には数字をいれる)をこの構築作業用のアカウントとする. また, gate-toroku-system では 1000 〜 29999 のユーザ ID を使用するため, Debian GNU/Linux でユーザを作成する際には以下のようにする.

# adduser chikuwaX --uid 4000X

chikuwaX アカウントの作成

テストユーザ "test" でログインし, chikuwaX アカウントを作成する. (X は適当な数字).

下では chikuwa4 アカウントを作成する例を示す.

$ su root
パスワード:適切なパスワードを入力
# adduser chikuwa4 --uid 40004

その後, 作成したアカウントでログインし, test ユーザをログアウトする.

テストユーザの削除

OS のインストール時に作成したテストユーザ "test" を uid も含めて削除する.

chikuwaX でログインし, /etc/deluser.conf を編集する.

$ su root
パスワード:適切なパスワードを入力
# vi /etc/deluser.conf

/etc/deluser.conf を以下のように書き換える.

REMOVE_HOME = 1
REMOVE_ALL_FILES = 1

この後,

# /sbin/deluser test

を実行して test を削除する.

アカウントリスト

以下に, chikuwa アカウントリストのテンプレートを示す. 適宜編集して使用すること.

  • chikuwa0 (40000):
  • chikuwa1 (40001):
  • chikuwa2 (40002):
  • chikuwa3 (40003):
  • chikuwa4 (40004):
  • chikuwa5 (40005):
  • chikuwa6 (40006):
  • chikuwa7 (40007):
  • chikuwa8 (40008):
  • chikuwa9 (40009):

sudo の設定

構築者全員が root パスワードを知っているのはセキュリティ上危険である. そこで sudo の設定を行い, 特定のユーザが自分のパスワードで root 権限を行使できるようにする.

/etc/sudoers の編集

chikuwaX でログインし, root になる.

# su root
パスワード:適切なパスワードを入力

以下のコマンドを入力し, sudoers ファイルを編集する.

# apt install vim 
# export EDITOR=vim
# apt install sudo
# visudo

環境変数 EDITOR に指定されたエディタ (vim) が立ち上がる.

文末に以下を追加する.

chikuwaX ALL=(ALL) ALL

アカウント登録しているユーザーを追加後, 保存する.

root になれるかの確認

sudo で root 権限を得られることを確認した.

root 権限を持てるようになった一般ユーザでログインし, 以下を入力する.

$ sudo -s

このあとに一般ユーザアカウントのログインパスワードを入力し, root になりかわることができる.

APT の設定

APT の設定および, セキュリティアップデートを行う.

APT-LINE の修正

  • 既にある sources.list を sources.list.org としてバックアップする.

    # cp /etc/apt/sources.list /etc/apt/sources.list.org
  • sources.list を編集して下のように記述する.

    # vi /etc/apt/sources.list
    • sources.list には, このページ を参考にして以下のような内容を記述する. ただし, Debian のバージョンに応じてコード名 (bullseye など) を適切に変更すること.
  • 2021 年度サーバ再構築時には sources.list に以下の内容を記述した.

    • 1-2 行目は debian の基本的なパッケージのダウンロード先, 3-4 行目は セキュリティパッチがあたったパッケージのダウンロード先, 5-6 行目は地球流体電脳倶楽部のソフトウェアのダウンロード先である.
    • OS バージョン名を適宜変更すること.

    deb http://deb.debian.org/debian/ bullseye main contrib non-free deb-src http://deb.debian.org/debian/ bullseye main contrib non-free

    deb http://security.debian.org/debian-security bullseye-security main contrib non-free deb-src http://security.debian.org/debian-security bullseye-security main contrib non-free

    deb http://www.gfd-dennou.org/library/cc-env/Linux/debian-dennou bullseye main deb-src http://www.gfd-dennou.org/library/cc-env/Linux/debian-dennou bullseye main

GPG 鍵の登録

地球流体電脳倶楽部のパッケージを取得するには apt-key によって鍵を登録する必要がある. 詳しくはapt の設定 - Computer Memorandumを参照のこと. APT-LINE の修正と同様, このページを参考にして GPG 鍵を登録する.

debian-keyring を取得する.

# apt install debian-keyring

その後 keyring から公開鍵を取り出し apt-key へ登録する.

# gpg --keyring /usr/share/keyrings/debian-maintainers.gpg \
       --export -a 891D7E07 | sudo apt-key add -

OK と表示されれば成功である.

セキュリティアップデート

利用できる Debian のパッケージのリストを更新する.

# apt update

セキュリティアップデートを行う.

# apt upgrade

参考資料

パスワード認証の拒否と root ログインの拒否設定

ssh サーバの設定を変更する. 公開鍵認証を有効にし, パスワード認証と PAM を無効にする. また root ログインを無効にする.

# vi /etc/ssh/sshd_config

PermitRootLogin no
        :
PasswordAuthentication no
        :
UsePAM no

最後に ssh デーモンを再起動する.

# systemctl restart ssh.service

/etc/init.d/ 以下の不要なネットワークサービスの停止

exim4

exim4 がインストールされていれば再設定する.

# dpkg -l exim4

で, exim4 の行の左端が un と表示されればインストールされていない. (2018, 2020, 2021 年のサーバ再構築時にはインストールされていなかった.)

もしインストールされていれば下の作業を行う.

# export LANG=C
# dpkg-reconfigure exim4-config

設定画面で local delivery only のみになっていることを確認する. 他はデフォルトのままにする.

その他の /etc/init.d 以下から起動される不要なネットワークサービスの停止

下のコマンドにより nfs が起動しているかどうか確認する.

# systemctl | lv

"nfs" の文字を含むサービスがなければ起動していない.

もし nfs が起動していれば停止するために, 下のコマンドを実行する.

# /etc/init.d/nfs-common stop

(2018, 2020, 2021 年のサーバ再構築時には, /etc/init.d/nfs-common ディレクトリが存在せず, その旨のメッセージが表示されたため実行していない.)

/usr/sbin/inetd によって起動されるネットワークサービスの停止

openbsd-inetd をインストールする.

# apt install openbsd-inetd

/etc/inetd.conf を編集して不要なサービスが上がらないようにする.

# vi /etc/inetd.conf

で全てがコメントアウトされているのを確認し, inetd のプロセスを再起動する.

# systemctl restart inetd

NetworkManager の停止

サーバー運用上, NetworkManager では Network の詳細な設定が難しいと考えられるため, NetworkManager を停止して従来の方法で Network の設定を行う. 以下のように NetworkManager を停止させた.

まず, ネットワーク関係の様々なコマンドを使うために, net-tools, resolvconf パッケージをインストールする.

# apt install net-tools resolvconf

そして, ネットワークインターフェース名を確認する.

# ip addr show
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000
   link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
   inet 127.0.0.1/8 scope host lo
      valid_lft forever preferred_lft forever
   inet6 ::1/128 scope host
      valid_lft forever preferred_lft forever
2: eno1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast state UP group default qlen 1000
   link/ether b4:2e:99:d2:9c:f0 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
   altname enp0s31f6
3: enp2s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast state UP group default qlen 1000
   link/ether 68:05:ca:b9:e5:b0 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
   inet 133.30.109.21/24 brd 133.30.109.255 scope global noprefixroute enp2s0
      valid_lft forever preferred_lft forever
   inet6 fe80::6a05:caff:feb9:e5b0/64 scope link noprefixroute
      valid_lft forever preferred_lft forever

上の例では enp2s0 がグローバルネットワークに接続されていることがわかる.

以上の準備後に NetworkManager の設定を変更する.

起動時に NetworkManager が立ち上がらないようにする.

# systemctl disable NetworkManager

systemctl は, 様々なサービスを管理する systemd という仕組みの設定を変更するコマンドである. 第一引数 (disable) は, OS 起動時にあるサービスが立ち上がらないようにすることを示し, 第二引数 (NetworkManager) は設定を変更するサービス (に対応するファイル名/ユニット名) を示す.

なお, 引数なしで systemctl を実行することで, 現在有効なサービスを確認できる.

# systemctl

次に, NetworkManager を使わずにネットワークに接続するために, /etc/network/interfaces に以下を追記する.

allow-hotplug enp2s0
iface enp2s0 inet static
      address 133.30.109.21
      netmask 255.255.255.0
      network 133.30.109.0
      broadcast 133.30.109.255
      gateway 133.30.109.254
      dns-nameservers 133.30.14.2 133.30.14.3 133.30.8.2
      dns-search scitec.kobe-u.ac.jp

auto eno1
iface eno1 inet static
      address 10.35.19.151
      netmask 255.255.255.0
      post-up ip rule add from 10.35.19.0/24 table 100 prio 10000
      post-up ip route add default via 10.35.19.254 dev enp8s0 table 100
      post-down ip route del default table 100
      post-down ip rule del table 100 prio 10000

enp2s0 はグローバルネットワークに繋がるインターフェースで, eno1 はプライベートネットワークに繋がるインターフェースである. post-up, post-down によって, ルーティングが設定されていることに注意 (参考ページ: <URL:https://setting-tool.net/static-multi-ip-network>).

/etc/network/interfaces の編集後に OS を再起動する. 再起動後に, 以下によりネットワークに繋がっていることを確認する.

# ping 133.30.109.22

# ping 133.30.109.203

また, NetworkManager が起動していないことを確認する.

# systemctl  

の表示に NetworkManager.service が含まれていないことを確認する.

備考

  • ネットワークの設定の変更後には下の方法でネットワークを再起動できるはずである.

    # /etc/init.d/networking stop
    # /etc/init.d/networking start 

しかし, 経験的には, 大抵ネットワークがつながらなくなる. 結局, OS を再起動してしまう方が簡単であることが多い.

参考資料

OS が認識しているメモリの確認

top コマンドを使って OS が認識しているメモリ容量を確認する.

$ top

として, 例えば,

top - 12:54:17 up 7 min,  3 users,  load average: 0.19, 0.17, 0.10
Tasks: 210 total,   1 running, 209 sleeping,   0 stopped,   0 zombie
%Cpu(s):  0.0 us,  0.0 sy,  0.0 ni, 99.8 id,  0.2 wa,  0.0 hi,  0.0 si,  0.0 st
MiB Mem :  32047.0 total,  30503.3 free,    867.2 used,    676.4 buff/cache
MiB Swap: 122070.0 total, 122070.0 free,      0.0 used.  30778.5 avail Mem

と表示される場合, 下から 2 行目の MiB Mem の後の数字がメモリの大きさ (上の例では 32 GB) である.

時刻の設定

コンピュータ内の時刻を定常的に正しくしておくための設定を行う.

ntpdate パッケージのインストール

以下のコマンドで ntpdate パッケージをインストールする.

# apt install ntpdate

時刻の修正(手動)

次に, 以下のコマンドで時刻を修正する. コマンド入力後しばらくすると NTP (Network Time Protocol) サーバより返答が返り, 時刻が修正される.

# /usr/sbin/ntpdate-debian

下記のように date コマンドで時刻が正しくなっていることを確認する.

# date
Tue Sep 21 12:58:03 JST 2021

cron の設定

次に, 上記のような時刻修正コマンドを毎日実行するように設定する.

# vi /etc/cron.daily/ntpdate

この ntpdate ファイルに以下のように書き込む.

#!/bin/bash
/usr/sbin/ntpdate-debian > /dev/null 2>&1

最後に, このファイルのパーミッションを以下のように設定する.

# chmod 755 /etc/cron.daily/ntpdate

debianパッケージの引き継ぎ

ika に導入されている debian パッケージを全て tako に導入する.

準備

dselect パッケージをインストールする.

# apt install dselect

古いマシンでのインストールパッケージリスト作成

ika に install されている debian パッケージの一覧を取得する.

[ika] $ dpkg --get-selections > old_list.txt

リストを参照して, 古いカーネルなど, 明らかに不要なものはリストから削除する. 2021 年度は, nvidia 関連のドライバーを削除した.

リストの新しいマシンへの転送

リストを ika から tako に転送する. 必要に応じて適当な joho 実験機を介して転送すること.

リストを元にインストール

tako において, ika で導入されているパッケージをインストールする.

[tako] # dpkg --set-selections < old_list.txt

ここで,

dpkg: 警告: package not in status nor available database at line xx: (パッケージ名)

という警告が大量に表示されるかもしれない.

その場合には,

# dselect update

を実行し, パッケージ情報を更新して, OS を再起動する. その後, 再度

[tako] # dpkg --set-selections < old_list.txt

を実行する. 場合によっては

dpkg: warning: package not in status nor available database at line 2260: tracker-gui
dpkg: warning: package not in status nor available database at line 2262: transfig
dpkg: warning: package not in status nor available database at line 2277: uim-common
dpkg: warning: package not in status nor available database at line 2282: uim-qt

などの警告が出力されるかもしれないが, インストールを実行する.

[tako] # apt-get dselect-upgrade

Reading package lists... Done
Building dependency tree... Done
Reading state information... Done
The following packages have unmet dependencies:
 ruby-numru-met : Depends: ruby-dcl but it is not installable
E: Error, pkgProblemResolver::Resolve generated breaks, this may be caused by held packages.
E: Internal error, problem resolver broke stuff

2021 年度は上のように表示され, ruby-numru-met が ruby-dcl に依存しているようだが, ruby-dcl パッケージが存在せず仕方がないので, 放っておいた.

GNOME の再インストール (必要に応じて)

パッケージの引き継ぎを行うとき,

[tako] # apt-get dselect-upgrade

上記の作業を行うと, gnome 関連のパッケージが削除されることがある. そのため, 念の為に

# apt install gnome

を行って gnome がインストールしておき再起動する.

GNOME をデフォルトで立ち上げない

ディスプレイマネージャの設定を変更することで, 起動時にテキストログインできるようにする.

まず /etc/X11/default-display-manager を編集する.

# vi /etc/X11/default-display-manager

ファイル中の下の行

/usr/sbin/gdm3

を下のようにコメントアウトする (行頭に # を挿入する).

#/usr/sbin/gdm3

さらに, 下のようにして, ディスプレイマネージャの起動設定を変更する.

# cd /lib/systemd/system
# mv gdm.service gdm.service.bk

上の操作では, systemd が使う, OS 起動時の gdm 起動のための設定ファイルの名前を変えている. これによって OS 起動時に gdm が起動しなくなる.

システムの文字コードの設定

デフォルトでは文字コードが UTF-8 にしか対応していないため, EUC にも対応する.

下のようにして文字コード (ロケール) の設定の変更する.

# dpkg-reconfigure locales

"ja_JP.EUC-JP EUC-JP" をチェックして有効にした. その後, デフォルトロケールに "ja_JP.UTF-8" を選択した.

システムログの保管期間を 3 ヶ月にする

システムログが 3 ヶ月間保存されるように設定する.

rsyslog の設定

ログが 3 ヶ月間保存されるように, ローテーションを設定する.

/etc/logrotate.d/rsyslog を開き

rotate 4
weekly

の部分を

rotate 12
weekly

に変更する.

apt の設定

12 ヶ月間保存する設定になっているため, 変更は不要であるが, 念のため /etc/logrotate.d/apt を開き

rotate 12
monthly

となっていることを確認する.

dpkg の設定

12 ヶ月 (1 年) 間保存する設定になっているため, 変更は不要であるが, 念のため /etc/logrotate.d/dpkg, /etc/logrotate.d/alternatives を開き, dpkg.log, alternatives.log のどちらも

monthly
rotate 12

となっていることを確認する.

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Last modified:2022/01/04 00:11:10
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