[ITPASS2022]ローカルでのバックアップの設定

目的

ITPASS サーバでは, 一部の領域 (itpass などグループで使用している領域) に ついて, 普段は予備サーバへのバックアップを行っている. (詳しくは [ITPASS2022]サーバ交換作業 1 週間後に行う作業 を参照のこと.)

サーバの再構築時は予備サーバにバックアップすることができないので, 冗長性を維持するために, システムがインストールされているディスクとは 別のディスクに, 計算機内でバックアップ (ローカルバックアップ) を取る ようにしておく. このとき, 万が一本サーバのディスクが故障したときの復旧を容易にするために, 普段より多めのデータをバックアップしておく.

なお, 通常運用中にはローカルバックアップは行わない.

概要

以下では, ローカルバックアップを取る方法について記す.

  • ika にバックアップ用のディスクを取り付ける.
    • 通常は最初から付いている.
  • 1 日 1 回, 以下を除くすべてのバックアップを取るように cron スクリプトを設置する.
    • /tmp/, /proc/, /dev/, /sys/ 等のシステム固有なものや一時的に用いるもの
    • /home/aquota.user

予備ディスクの準備

ここでは予備ディスクの状態を確認する. あるいは, 予備ディスクが利用できる状態でない場合には, 予備ディスクを準備する.

現在のディスク使用状態の確認

まず, df コマンドで, 現在のディスク使用状態を確認し, 予備ディスクがマウントされているかどうかを確認する.

例えば,

# df -h
ファイルシス   サイズ  使用  残り 使用% マウント位置
udev             7.9G     0  7.9G    0% /dev
tmpfs            1.6G  170M  1.5G   11% /run
/dev/sda1        183G   68G  106G   40% /
tmpfs            7.9G     0  7.9G    0% /dev/shm
tmpfs            5.0M  4.0K  5.0M    1% /run/lock
tmpfs            7.9G     0  7.9G    0% /sys/fs/cgroup
/dev/sda6        1.6T  531G 1008G   35% /home
/dev/sdb1        183G   61M  173G    1% /bk
/dev/sdb6        704G   73M  668G    1% /home.bk

のような場合には, 現時点で使っているディスクが /dev/sda としてマウントされ, /dev/sdb が予備ディスクとしてマウントされていることがわかる. (予備ディスクには, バックアップ用のパーティション, /bk, /home.bk, が作られている.)

このように, 既に予備ディスクがマウントされている場合には #バックアップスクリプトの設置 から作業を続ける.

一方,

# df -h
ファイルシス   サイズ  使用  残り 使用% マウント位置
udev             7.9G     0  7.9G    0% /dev
tmpfs            1.6G  170M  1.5G   11% /run
/dev/sda1        183G   68G  106G   40% /
tmpfs            7.9G     0  7.9G    0% /dev/shm
tmpfs            5.0M  4.0K  5.0M    1% /run/lock
tmpfs            7.9G     0  7.9G    0% /sys/fs/cgroup
/dev/sda6        1.6T  531G 1008G   35% /home

のような場合には, /dev/sda の他にマウントされたディスクが見当たらず, 予備ディスクがマウントされていないことがわかる.

今年は,

# df -h
 ファイルシス   サイズ  使用  残り 使用% マウント位置
udev              16G     0   16G    0% /dev
tmpfs            3.2G  1.4M  3.2G    1% /run
/dev/sdc1        916G  181G  689G   21% /
tmpfs             16G     0   16G    0% /dev/shm
tmpfs            5.0M  4.0K  5.0M    1% /run/lock
/dev/loop2       114M  114M     0  100% /snap/core/13425
/dev/loop4        44M   44M     0  100% /snap/certbot/2192
/dev/loop0        62M   62M     0  100% /snap/core20/1611
/dev/sdc3        189M  3.4M  185M    2% /boot/efi
/dev/sdc4        2.7T  643G  1.9T   26% /home
/dev/loop6        45M   45M     0  100% /snap/certbot/2344
/dev/loop1        64M   64M     0  100% /snap/core20/1623
/dev/loop5       115M  115M     0  100% /snap/core/13741

となり, /dev/sdc の他にマウントされたディスクが見当たらなかった.

予備ディスクの確認とパーティショニングとフォーマット

もし予備ディスクがマウントされていなければ, parted コマンドを用いて, マウントされていないが物理的に接続されているディスクがあるかどうかを確認する.

$ sudo parted -l
 Model: JMicron Disk RAID1 (scsi)
 Disk /dev/sda: 5001GB
 Sector size (logical/physical): 512B/512B
 Partition Table: gpt
 Disk Flags:

 Number  Start   End     Size    File system  Name                Flags
  1      33.6MB  5001GB  5001GB  ext4         raid01_century2hdd


Model: ATA TOSHIBA MN04ACA4 (scsi)
Disk /dev/sdb: 4001GB
Sector size (logical/physical): 512B/512B
Partition Table: gpt
Disk Flags:

Number  Start   End     Size    File system     Name  Flags
 1      1049kB  1000GB  1000GB  ext4
 2      1000GB  1064GB  64.0GB  linux-swap(v1)        swap
 3      1064GB  1064GB  200MB   fat32                 boot, esp
 4      1064GB  4001GB  2937GB  ext4


Model: ATA TOSHIBA MN04ACA4 (scsi)
Disk /dev/sdc: 4001GB
Sector size (logical/physical): 512B/512B
Partition Table: gpt
Disk Flags:

Number  Start   End     Size    File system     Name  Flags
 1      1049kB  1000GB  1000GB  ext4
 2      1000GB  1064GB  64.0GB  linux-swap(v1)        swap
 3      1064GB  1064GB  200MB   fat32                 boot, esp

のように表示された. 現在使用しているディスク /dev/sdc の他に /dev/sdb が物理的に接続されており, そこには /dev/sdc と同じパーティションが作成されていることがわかる. つまり, そのディスクをマウントすれば予備ディスクとして利用できる. その場合には, #fstab の設定 (予備ディスクのマウント) により予備ディスクをマウントして使用する.

もし, /dev/sdb が接続されているにもかかわらず, /dev/sdc と同じパーティションが作成されていない場合には, parted コマンドを用いて /dev/sdc と同じパーティションを作成する.

また, もし予備ディスクとして使用できるディスクが接続されていない (parted の表示に現れない) 場合には, ika に予備ディスクを (物理的に) 接続し, /dev/sdc と同じパーティションを作成する. その際には, ika で使用されているディスクの容量以上のディスクを用いること.

fstab の設定 (予備ディスクのマウント)

予備ディスクを /bk, /home.bk にマウントするように設定する.

/bk, /home.bk ディレクトリを作成する.

# mkdir /bk /home.bk

/etc/fstab を書き換えるが, UUID を使って fstab に記述するため, まずは UUID を調べる.

# blkid
/dev/sda1: UUID="8a1b51ed-3e33-4b6b-b967-763f7ecd6cbb" BLOCK_SIZE="4096" 
TYPE="ext4" PARTLABEL="raid01_century2hdd" PARTUUID="41cea77f-e32c-4100- b9e5-0248c3fde272"
/dev/sdc1: UUID="e4c3a14a-c7fe-4cc9-8083-33ef6632f6b9" BLOCK_SIZE="4096" 
TYPE="ext4" PARTUUID="0485ea38-b5e3-44fb-939a-55d917d53dbe"
/dev/sdc2: UUID="8f2ecb8c-a2ea-4f1a-8670-0450d180e26c" TYPE="swap" 
PARTUUID="cc14f782-8d78-4cb7-9ab3-d15d13690f47"
/dev/sdc3: UUID="35FC-814D" BLOCK_SIZE="512" TYPE="vfat" PARTUUID="30c4ee18- 6963-45d2-809e-ea5ed78da9d9"
/dev/sdc4: UUID="02d27347-6ee3-40c3-baf0-0e5f5c871c24" BLOCK_SIZE="4096" 
TYPE="ext4" PARTUUID="b087ec4e-cc50-4041-971e-7634eb289ff2"
/dev/sdb1: UUID="f9d0c64b-7d0d-4311-8590-78118ef68071" BLOCK_SIZE="4096" 
TYPE="ext4" PARTUUID="37d0b9f5-9c13-48ee-87a7-ba4ade0fb7bb"
/dev/sdb2: UUID="a3e35653-392b-4602-86cb-f292c8ec501b" TYPE="swap" 
PARTUUID="2532918c-97bd-447a-83c0-fbfc5f3faa41"
/dev/sdb3: UUID="35FE-4F60" BLOCK_SIZE="512" TYPE="vfat" PARTUUID="1223082d- 7b3b-4ef8-93b8-d49e15c10e0d"
/dev/sdb4: UUID="dfd8045e-1558-4898-b662-98fbc23e30ae" BLOCK_SIZE="4096" 
TYPE="ext4" PARTUUID="eb53c26c-f07e-4468-8ace-210c28ee03f7"
/dev/loop0: TYPE="squashfs"
/dev/loop1: TYPE="squashfs"
/dev/loop2: TYPE="squashfs"
/dev/loop4: TYPE="squashfs"
/dev/loop5: TYPE="squashfs"
/dev/loop6: TYPE="squashfs"

ここで表示された, /dev/sdb1, /dev/sdb4 の情報に基づいて, /etc/fstab を 編集する.

# vi /etc/fstab

以下の 4 行を追加した.

# /dev/sdb1 is mounted on /bk
UUID=f9d0c64b-7d0d-4311-8590-78118ef68071 /bk             ext4    defaults,errors=remount-ro 0     2
# /dev/sdb6 is mounted on /home.bk
UUID=dfd8045e-1558-4898-b662-98fbc23e30ae /home.bk        ext4    defaults,usrquota          0     2

/etc/fstab の編集が終了したら, マウントする.

# mount -a

ディスクのマウント状態を確認する.

# df -h
ファイルシス   サイズ  使用  残り 使用% マウント位置
udev              16G     0   16G    0% /dev
tmpfs            3.2G  1.4M  3.2G    1% /run
/dev/sdc1        916G  181G  689G   21% /
tmpfs             16G     0   16G    0% /dev/shm
tmpfs            5.0M  4.0K  5.0M    1% /run/lock
/dev/loop2       114M  114M     0  100% /snap/core/13425
/dev/loop4        44M   44M     0  100% /snap/certbot/2192
/dev/loop0        62M   62M     0  100% /snap/core20/1611
/dev/sdc3        189M  3.4M  185M    2% /boot/efi
/dev/sdc4        2.7T  643G  1.9T   26% /home
/dev/loop6        45M   45M     0  100% /snap/certbot/2344
/dev/loop1        64M   64M     0  100% /snap/core20/1623
/dev/loop5       115M  115M     0  100% /snap/core/13741
/dev/sdb1        916G   28K  870G    1% /bk
/dev/sdb4        2.7T   28K  2.5T    1% /home.bk

/dev/sdb1, /dev/sdb4 がそれぞれ /bk, /home.bk にマウントされている.

バックアップスクリプトの設置

バックアップの際には cron を用い, rsync によるバックアップを毎日自動的に行う. また, その rsync の結果をログに残す.

バックアップ用スクリプトの用意

バックアップ用スクリプトを以下のように設置する.

  • root ディレクトリ用: rsync_localbk_root.sh を, /etc/cron.local/daily/220_rsync_localbk_root へ設置した.
# wget http://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/server/2011/system_backup/rsync_localbk_root.sh
# mv rsync_localbk_root.sh /etc/cron.local/daily/220_rsync_localbk_root
  • home ディレクトリ用: rsync_localbk_home.sh を, /etc/cron.local/daily/225_rsync_localbk_home へ設置した.
# wget http://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/server/2011/system_backup/rsync_localbk_home.sh
# mv rsync_localbk_home.sh /etc/cron.local/daily/225_rsync_localbk_home

(なお, スクリプト先頭の番号は, その他のスクリプトを置いた際, どれを優先して実行するかを決めるためのものである. 若い番号のものほど先に実行される).

設置したスクリプトに実行権限を与える.

# chmod 744 /etc/cron.local/daily/220_rsync_localbk_root
# chmod 744 /etc/cron.local/daily/225_rsync_localbk_home

crontab の編集

/etc/crontab を編集する. 以下の一行があることを確認し, なければ追加する.

25 6    * * *   root    cd / && run-parts --report /etc/cron.local/daily   |mail -s "`hostname -f` daily run outputs" itpadmin@itpass.scitec.kobe-u.ac.jp

バックアップログファイルの作成

ログファイルのためのディレクトリとファイルを作成しておく. なお, このログファイルの場所は #バックアップ用スクリプトの用意で用意した 220_rsync_localbk_root と 225_rsync_localbk_home 内の LOGFILE を書き換えることで変更できる.

ディレクトリ /var/log/rsync-log がなければ作成し, その中にログ用のファイルを作成する.

# mkdir /var/log/rsync-log
# cd /var/log/rsync-log
# touch localbk_root.log localbk_home.log 

ログファイルのためのファイルを作成する.

# cd /var/log/rsync-log
# touch localbk_root.log localbk_home.log 

バックアップログファイルの logrotate の設定

rsync のログを 1 週間毎に分割する. /etc/logrotate.d/ 以下に rsync_localbk_root という設定ファイルを作成する.

# vi /etc/logrotate.d/rsync_localbk_root

以下の内容を書き込む.

/var/log/rsync-log/localbk_root.log {
    weekly
    create 0644 root root
    rotate 12
}

同様に rsync_localbk_home も作成する.

# vi /etc/logrotate.d/rsync_localbk_home

以下の内容を書き込む.

/var/log/rsync-log/localbk_home.log {
    weekly
    create 0644 root root
    rotate 12
}

バックアップのテスト

バックアップをテストする.

# cd /etc/cron.local/daily/
# ./220_rsync_localbk_root
# ./225_rsync_localbk_home

バックアップができているか, 以下のログファイルで確認する.

  • /var/log/rsync-log/localbk_root.log
  • /var/log/rsync-log/localbk_home.log

本サーバから予備サーバへのバックアップの停止

ローカルバックアップが cron によってうまく実行されたことを確認した後, 本サーバから予備サーバへのバックアップを止める.

# chmod 644 /etc/cron.local/daily/230_rsync_itpassbk
# chmod 644 /etc/cron.local/daily/231_rsync_itpassbk
# chmod 644 /etc/cron.local/daily/232_rsync_itpassbk
# chmod 644 /etc/cron.local/daily/233_rsync_itpassbk
# chmod 644 /etc/cron.local/daily/234_rsync_itpassbk